山口県では,2001年に策定した「山口県循環型農業推進基本方針」に基づき,化学肥料や化学農薬の使用量を50%以上低減した農産物を県独自に「エコやまぐち農産物」として認証する取組を進めてきた.また,2008年には「山口県有機農業推進計画」を策定し,行政・研究・普及組織が連携して有機農業の普及推進に取り組んでいる.
当県の研究・普及組織には実践的な有機栽培技術に関する知見が充分ではなかったため,先進有機農業者と密に連携しながら,個別課題に対応できる部分技術の整理と体系化を進めるとともに,消費者の有機農業及び有機農産物に対する理解促進を図ってきた.
ここでは,県内消費者の有機農産物に対する評価と課題を指摘するとともに,有機農業を支える試験研究の取組を論じる.