2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故によって多量の放射性物質が環境中に放出され,農地と農作物の放射性物質による汚染が大きな問題となっている.本報では福島県南相馬市の地元農家の協力のもと,2014年に有機圃場(無施肥栽培)3カ所及び慣行圃場1カ所からダイズの地上部を収穫期に採取し,放射性セシウム(Cs)濃度を部位別に調べて,土壌放射性Cs濃度や土壌化学性との関連について考察した.調査した4圃場の土壌放射性Cs濃度(134Cs+137Cs)は510~1,100Bq/kg-乾土(ds)であった.ダイズ子実の放射性Cs濃度はいずれも食品中の放射性Csの新規制値(100Bq/kg)を下回ったが,無施肥栽培の子実放射性Cs濃度は12~60Bq/kg-乾物(dw)と大きな圃場間差が認められた.慣行栽培では2.8Bq/kg-dwと低かった.全圃場の子実における移行係数(子実137Cs濃度[Bq/kg-dw]/土壌137Cs濃度[Bq/kg-ds])は0.007~0.054と過去の報告の範囲内にあり,土壌交換性カリ含量と有意な双曲線形相関を示した.今回調査対象とした無施肥栽培圃場の土壌交換性カリ含量は福島県の設定した目標値と比較して低く,放射性Cs濃度をより低く抑えたダイズ生産にはカリ資材の投入などの放射性Cs吸収抑制対策が必要と考えられた.