日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
Angiomyofibroblastomaの1例
西本 周平和田 直子
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キーワード: 軟部腫瘍, 外陰部
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2015 年 32 巻 4 号 p. 450-454

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抄録

 34歳女.2年前より右大陰唇に小結節があり徐々に増大した.初診時,右大陰唇から有茎性に隆起して下垂する径10cmの弾性硬で境界明瞭な皮下腫瘤を認め,腫瘤表面に血管怒張が著明で熱感,自発痛を伴った.病理組織学的に腫瘍は細胞密度の高い部分と低い部分が混在し,腫瘍細胞は紡錘形から類円形で異型性はなく,vimentin,desmin, estrogen receptor,progesteron receptor 陽性,α-smooth muscle actin, S100蛋白陰性であった.間質は膠原線維と小血管の増生を認め,ムチンの沈着を認めなかった.Angiomyofibroblastomaと診断した.全身麻酔下に単純摘出術を施行.腫瘍は境界明瞭であったが,腫瘍へ流入する血管が豊富で術中出血量は195 mlだった. Angiomyofibroblastomaは女性外陰部に生じる良性の間葉系腫瘍で,同部位に生じ急速に浸潤性に増大するaggressive angiomyxomaとの鑑別が問題となる.Angiomyofibroblastomaは多くは径5cm以下だが,10cmを超す症例もあり,術中に大量出血を来した報告も散見される.大型のangiomyofibroblastomaでは腫瘍への流入血管が発達していることをを念頭におき出血に注意して手術にあたる必要がある.

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