日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
伝染性軟属腫の予後 天草市の一皮膚科診療所における調査
横山 眞爲子奥村 之啓
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2015 年 32 巻 5 号 p. 574-579

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抄録

 伝染性軟属腫(molluscum contagiosum,以下MC)の自然治癒についての論文は散見されるが,MC治療後の数年にわたる予後を観察したデータは少ない.  2003年1月から2007年12月までの5年間に,当院(熊本県天草市)を受診したMC患者について,我々は,以前統計的観察を行った1).これらの患者について,さらに2012年12月まで観察し,その経過を検討した.初めの5年間の全初診患者65,383名中,MCの症例の実数は1,110例(男女比1:0.96)であった.これらのMCの患者のうち,MCの初診から他疾患を含めた最終受診までを5年以上観察できた患者は222例(男女比1:1.13)であった(年齢:0歳〜69歳.最頻値3歳).この222例について予後を検討したところ,MCでの受診回数が最も多かったのは7回で,摘除回数の最多も7回であった.約半数が1回の摘除で治療が終了し,再発または再感染した例でも,多くの症例が初回摘除後約3ヶ月を目処に治癒していたことがわかった.  症例にもよるが,一般には,病変の少ない早期に摘除した方が,自然治癒を待つより良いと考えた.

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