日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
爪白癬治療剤エフィナコナゾール爪外用液の使用経験 ~長期使用例を含めた当科484例の検討~
井波 真矢子五十嵐 敦之
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2018 年 35 巻 5 号 p. 748-752

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抄録
 爪白癬の治療は,爪白癬に適応のある外用薬が発売されるまでは,内服薬と爪白癬に適応を有さない外用薬のみであった.2014年9月に日本で初めて爪白癬に適応を持つ外用薬であるエフィナコナゾール爪外用液(クレナフィン爪外用液10%)が発売されたが,治療を1年以上継続した場合の臨床成績の報告はまだない.今回,当科で爪白癬に対しエフィナコナゾールを処方した484例を検討した.そのうち効果判定ができたのは363例であった.治癒症例のうち3割以上が治癒に1年以上を要しており,実臨床での治癒率は17.9%であった.改善が認められる症例は治癒も含めて81.3%であった.安全面では,接触皮膚炎が484例中13例に認められたが,全身性の副作用は認められなかった.副作用の少ないエフィナコナゾールの発売により,これまでの治療法では対応できなかった患者も治療できるようになり,特に高齢者,多剤服用患者に対しては第一選択となりうる薬剤であるが,治療の成功には,患者のアドヒアランス向上が必須であり,治療開始時に根気強い治療が必要であることと,治癒までの見通しを丁寧に説明する必要がある.
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© 2018 日本臨床皮膚科医会
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