日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
乳頭に生じ脂漏性角化症様の外観を呈した尖圭コンジローマの1例
村尾 和俊久保 宜明
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2019 年 36 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

 25歳女.約3か月前より左乳頭部に皮疹が生じ,徐々に大きくなった.左乳頭部に角化傾向の強い暗褐色の疣状結節が,乳頭全体を覆うようにみられた.臨床像からは脂漏性角化症を考えたが,病理組織では,表皮は外方向性に乳頭状に肥厚し,表皮上層には多数のkoilocyteを認めた.抗human papillomavirus(HPV)抗体による免疫染色では,表皮顆粒層近くに陽性細胞を多数認めた.Polymerase chain reaction(PCR)によりHPVの検索を行ったところHPVのDNAが病変部から検出され,遺伝子配列はHPV6型と一致した.以上より,本例を乳頭部に生じた尖圭コンジローマと診断した.液体窒素治療により病変は消褪した.乳頭部に生じた尖圭コンジローマの報告は少ないが,興味深いことにほとんどの症例が,自験例の様に脂漏性角化症様の臨床像を呈している.乳頭に生じた脂漏性角化症様の病変に対しては常に尖圭コンジローマを鑑別に入れるべきである.

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