日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
色素性粘膜病変のハイダイナミックレンジ画像変換によるダーモスコピー構造の明瞭化
佐藤 俊次田中 勝
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2019 年 36 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

色素性粘膜病変では,ダーモスコピーで観察される構造が不明瞭である.そこで,ダーモスコピー像のハイダイナミックレンジ画像変換によりダーモスコピー像の全体的パターンや局所の構造が認識されやすくなるかどうかを検討した.口唇部メラノーシス5例を用い,既報告のダーモスコピー所見のうち,全体構築の4つのパターン,すなわち,網状パターン,線状パターン,均一パターン,小球状パターン,9つの局所構造,および構造の色調,について,オリジナルのダーモスコピー画像とハイダイナミックレンジ変換後の画像とを皮膚科専門医2名が比較観察した.その結果,画像変換によりダーモスコピーの局所の構造は明瞭化して認識されやすくなったが,全体構築のパターン認識には有為な差がなかった.一方,構造の色調はハイダイナミックレンジ画像変換により,血管構造が褐色に変化することがあるため,血管構造を色素構造と誤って認識することがあった.したがって,特に血管所見については,常にオリジナルのダーモスコピー画像と比較しながら判断する必要がある.

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© 2019 日本臨床皮膚科医会
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