日本臨床皮膚科医会雑誌
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総説
放射線皮膚炎に対する新たな治療展開 ~保湿剤の有用性について~
新井 達
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2020 年 37 巻 1 号 p. 62-66

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抄録
 放射線皮膚障害ではびらんや皮膚潰瘍以外に,照射野の皮膚が持続的に乾燥することが患者のQOLを低下させている.本邦では以前に頻用されたコバルト線源を用いた放射線治療に伴う指導の名残で,放射線照射野に対しては外用剤を一切使用してはいけない,という指導が長らく行われていた.しかし,近年,放射線治療を施行すると,照射野のエクリン腺や皮脂腺に長期間の障害がみられること,そしてこれらの皮膚障害の結果に生じる乾皮症に対して,ヘパリン類似物質外用が有効であることが明らかになった.放射線皮膚障害の基礎的事象を交えながら保湿剤の新たな有用性について紹介する.
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© 2020 日本臨床皮膚科医会
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