日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
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37 巻 , 1 号
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総説
  • 新井 達
    2020 年 37 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     放射線皮膚障害ではびらんや皮膚潰瘍以外に,照射野の皮膚が持続的に乾燥することが患者のQOLを低下させている.本邦では以前に頻用されたコバルト線源を用いた放射線治療に伴う指導の名残で,放射線照射野に対しては外用剤を一切使用してはいけない,という指導が長らく行われていた.しかし,近年,放射線治療を施行すると,照射野のエクリン腺や皮脂腺に長期間の障害がみられること,そしてこれらの皮膚障害の結果に生じる乾皮症に対して,ヘパリン類似物質外用が有効であることが明らかになった.放射線皮膚障害の基礎的事象を交えながら保湿剤の新たな有用性について紹介する.
論文
  • ~1ヵ月時点の治療効果検証の重要性~
    安部 正敏, 伊藤 寿啓, 島田 辰彦, 菅井 順一, 東山 眞里, 根本 治
    2020 年 37 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    目的:頭部尋常性乾癬の外用療法では,患者の治療アドヒアランスや治療満足度を長期間維持することが求められる.また,選択した外用療法の早期治療効果でその後の治療効果を予測することは,不必要な治療継続を避け,患者にとって最適な外用療法を選ぶことにつながる.今回,我々は外用療法開始早期(1ヵ月時点)の治療効果検証の重要性について検討した. 方法:2018年8月から2019年4月まで実施した頭部病変を有する尋常性乾癬患者と担当医師を対象にした多施設共同アンケート調査結果より,3ヵ月時点の患者評価の治療満足度(TSQM-9)の1項目である「効果に関する満足度(TSQM効果)」と医師評価の「PSSIスコアによる治療効果」の両方の指標が改善した群(改善達成群)とそれ以外の群(改善未達成群)について,1ヵ月時点での治療効果を比較した. 結果:外用療法単独集団では,改善達成群(n=68)における1ヵ月時点のTSQM効果,頭のかゆみ,浸潤・肥厚,鱗屑の4評価項目で,改善未達成群(n=101)と比べ有意な改善がみられた(p<0.05).一方,外用療法単独集団中のゲル単独集団では,改善達成群(n=43)における1ヵ月時点のTSQM効果,TSQM-9の使いやすさに関する満足度,TSQM-9の全体満足度,頭のかゆみ,PSSIスコア,浸潤・肥厚,鱗屑の7評価項目で,改善未達成群(n=59)と比べ顕著な改善がみられた(p≦0.01).しかしながら,外用療法単独集団およびゲル単独集団とも,改善達成群と改善未達成群の間で「病変範囲」と「紅斑」の変化率に有意差はみられなかった. 結論:長期治療が必要な頭部尋常性乾癬患者の外用療法において,1ヵ月時点の治療効果は3ヵ月後の治療結果に連動しており,これまで経験的に重要であると考えられていた実臨床上での早期の治療効果検証の重要性が改めて確認できた.
  • 野々垣 香織, 植木 理恵
    2020 年 37 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
    77歳女.初診約2年前から認知症に対しオランザピン,バルプロ酸,トラゾドンを内服していた.初診1ヶ月前よりリスペリドンが追加された後,次第に枕元に多数毛髪が付着するようになり,毛髪量が減少したことを家族が気付き紹介受診した.初診時全頭にびまん性の脱毛,易抜毛性があり,病的毛はみられなかった.生検では退行期から休止期と思われる毛包がやや増加し,炎症細胞浸潤は無かった.また,血清プロラクチン(PRL)が137.7 ng/mlと高値であった.以上より薬剤性の高PRL血症による休止期脱毛症を考えた.リスペリドンを漸減中止したところ,初診3ヶ月後にはPRL 67.1 ng/mlに低下するとともに,脱毛は軽快し毛髪量が視診上増加した.薬剤性休止期脱毛は気が付き難く,びまん性に脱毛する場合鑑別に加えるのが望ましいと考えた.
  • 江原 佳恵, 西本 周平, 持丸 奈央子, 畑 康樹
    2020 年 37 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー
     反転性毛包角化症(inverted follicular keratosis;IFK)は毛嚢一致性に発生したirritated typeの脂漏性角化症である.症例1は23歳女,症例2は85歳男,症例3は45歳男.それぞれ1年前,半年前,2ヶ月前より自覚した鼻背部の2~3mm大の黒色小結節.ダーモスコピーでいずれも基底細胞癌を疑う所見を認め,全摘生検を施行した.3症例ともに基底細胞癌の所見を認めず,表皮細胞様腫瘍細胞が内向性に増生し,squamous eddiesを伴っていた.全体構築より反転性毛包角化症と診断した.3症例いずれも経過が速いこと以外は臨床・ダーモスコピー所見からは基底細胞癌を否定することは困難であった.鼻部の黒色皮疹で基底細胞癌を疑う際は反転性毛包角化症も鑑別にあげる必要がある.
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