日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
静岡県東部(熱海周辺地域)における日本紅斑熱の6例
山村 一美高野 藍子堀内 義仁
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2022 年 39 巻 3 号 p. 398-405

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抄録

日本紅斑熱は1984年に徳島県で初めて報告されて以降,近年では年間300例前後が報告されている.当科では2020年4月から10月までの間にマダニによる日本紅斑熱の6症例を経験したので,それらの臨床像,検査値異常を中心に報告する.全例polymerase chain reaction(PCR)検査による確診例であり,三徴とされている発熱,特徴的な発疹は全例で,刺し口については3例で認められた.特徴的な刺し口が見つからない場合,発熱を伴う中毒疹,薬疹などの臨床像に類似するため本症が鑑別に挙がらず,播種性血管内凝固症候群(Disseminated intravascular coagulation, DIC)から多臓器不全となり,死亡に至ることもある.近年では病原体リケッチア伝搬マダニの分布域の拡大に伴い,西日本のみならず東日本においても症例数が増えてきており,本症を遅れなく診断するためには上記の三徴に加え,血液検査所見,生活歴,日本紅斑熱の流行地であるか否かにも留意することが必要である.

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