日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
Leser-Trélat徴候と考えられた3例
安達 智江
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2022 年 39 巻 6 号 p. 769-774

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抄録

Leser-Trélat徴候は,内臓悪性腫瘍の存在を疑わせるデルマドロームで,脂漏性角化症が急速に多発増大し,瘙痒を伴うこともある.症例1は胸腹部造影CTにて膀胱癌が見つかり,症例2は上部消化管内視鏡にて粘膜内早期胃癌が見つかり,症例3は直前に膀胱癌を切除していた.自験例では臨床像に脂漏性角化症のChristmas tree,splash,raindrop型の規則的配列が見られており,内臓悪性腫瘍が産生するEGF等成長因子の関与を示唆すると同時に,診断に役立つ重要な所見と考えられた.Leser-Trélat徴候を生じる悪性腫瘍は消化管癌が多く,全身検索に内視鏡検査は欠かせないが,過去の報告において本症はあらゆる部位のあらゆる腫瘍で生じている.そのため,広く全身を観察し得るCT,特に造影CTは,消化管以外の内臓悪性腫瘍の見逃しを防ぐ有用な精査手段と考えられた.

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© 2022 日本臨床皮膚科医会
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