日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
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39 巻, 6 号
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論文
  • 村尾 和俊, 久保 宜明
    2022 年 39 巻 6 号 p. 765-768
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
    83歳,女性.数年来高血圧症のためアムロジピンベシル酸塩を服用している.数年前から下腿に皮疹が出ていたが,徐々に拡大し大腿にも及ぶようになり当科を受診した.当科初診時,両足背から下腿,そして大腿の遠位部にかけて,直径2〜3 mmの,細かな毛細血管の拡張する紅色斑がびまん性に多発していた.ダーモスコピーでは分枝状を呈する拡張した血管を多数認めた.病理組織学的には,真皮上層に拡張した血管が見られ,血管壁は均質な好酸性物質の沈着により肥厚し,周囲にはリンパ球を主とした細胞浸潤を認めた.肥厚した血管壁はperiodic acid Schiff染色陽性で,また免疫染色で抗collagen IV抗体に陽性であった.臨床像,病理組織所見から本症例をcutaneous collagenous vasculopathy(CCV)と考えた.CCVは原因不明のまれな,真皮上層における微小血管障害である.これまでに60例ほどの報告しかなく,本邦からの報告は本症例が2例目である.CCVでは皮膚の毛細血管拡張以外に症状は認めない.本症に対する有効な治療法はないが,pulsed-dye laser治療の奏功例が報告されている.
  • 安達 智江
    2022 年 39 巻 6 号 p. 769-774
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
    Leser-Trélat徴候は,内臓悪性腫瘍の存在を疑わせるデルマドロームで,脂漏性角化症が急速に多発増大し,瘙痒を伴うこともある.症例1は胸腹部造影CTにて膀胱癌が見つかり,症例2は上部消化管内視鏡にて粘膜内早期胃癌が見つかり,症例3は直前に膀胱癌を切除していた.自験例では臨床像に脂漏性角化症のChristmas tree,splash,raindrop型の規則的配列が見られており,内臓悪性腫瘍が産生するEGF等成長因子の関与を示唆すると同時に,診断に役立つ重要な所見と考えられた.Leser-Trélat徴候を生じる悪性腫瘍は消化管癌が多く,全身検索に内視鏡検査は欠かせないが,過去の報告において本症はあらゆる部位のあらゆる腫瘍で生じている.そのため,広く全身を観察し得るCT,特に造影CTは,消化管以外の内臓悪性腫瘍の見逃しを防ぐ有用な精査手段と考えられた.
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