日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
チオ硫酸ナトリウム投与と透析導入により軽快した原発性副甲状腺機能亢進症に伴うカルシフィラキシスの 1例
深田 義仁山崎 一人佐藤 友隆
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2024 年 41 巻 3 号 p. 444-450

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抄録
症例は50歳代女. 2型糖尿病と高血圧で近医内科に通院しており,1ヶ月前から両下肢に瘙痒と浮腫が出現した.下肢の熱感と呼吸困難および腎機能障害がみられたため,近医より当院腎臓内科へ紹介となり,入院した.下肢は蜂窩織炎としてセファゾリンナトリウムを開始されたが疼痛が増強し,当科を紹介受診した.初診時に両側下肢の膝窩から足関節部の範囲に発赤を伴う網状の紫斑と下腿中央に壊死を認めた.紫斑部は硬結を触れ強い疼痛を伴った.採血データでは腎機能障害があり副甲状腺ホルモン(PTH)が高値であった.造影CTで両側大腿動脈の蛇行と石灰化が見られ,経胸壁心エコー検査で大動脈弁の石灰化,副甲状腺エコー検査で右下極背側に腫大を疑う低エコー領域がみられた.カルシフィラキシスを疑い皮膚生検を施行したところ,脂肪織に存在する小動脈に石灰沈着がみられカルシフィラキシスと診断した.カルシウム受容体作動薬を併用した透析の導入と透析時のチオ硫酸ナトリウム投与により壊死の進行が停止し,緩徐に上皮化した.壊死部のみデブリドマンを行い,軟膏処置で15ヶ月後に潰瘍はすべて上皮化した.透析を含めた電解質や貧血, PTHなどの原因因子や増悪因子の排除のみで改善しないカルシフィラキシスの追加治療としてチオ硫酸ナトリウムの投与は有用な選択肢となりうる.
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