医療
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出血を主症状とした転移性胃血管肉腫の1例
―純エタノール局注止血法の試み―
安原 高士河野 宏佐々木 俊輔荒木 文雄萩原 秀紀日名 一誠岩野 英二三宅 周
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1985 年 39 巻 10 号 p. 866-869

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抄録
他臓器原発の腫瘍が胃に転移する転移性胃腫瘍は, 比較的まれである. 著者らは, 陰部の軟部組織に原発し, 胃と十二指腸に転移し, 出血を主症状とした血管肉腫(以下「HAS」)を経験し, 純エタノール局注療法を試みたので, その経緯について報告する.
症例は70才の女性. 6年前に陰部に腫瘤を発見し, 摘出術と化学療法を施行. その後4回同様治療を行い, 5ヵ月前より60Co照射を開始. 今回, 扁桃腫瘍(生検にてHASを確認)よりの出血のために入院. 入院時, 鉄欠乏性貧血をみた. 内視鏡険査では, 胃および十二指腸にHASの転移病巣を数ヵ所に認め, 4回にわたり純エタノール局注療法を施行し, 局注後タール便の消失をみた.
転移性胃血管肉腫は非常にまれで, 肉腫では転移性胃脂肪肉腫の1例をみるに留まる. また純エタノール局注療法は, 胃血管腫の1例, 転移性胃悪性リンパ腫の2例, 胃癌の15例などに使用されており, 有効な方法と考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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