抄録
陥入爪・巻き爪は皮膚科診療ではありふれた疾患であるが,特に診療所においては統一された治療体系がなく,各医療機関の技量により様々な治療が行われているのが現状である.当院では1997年開院以来創意工夫(短時間,安価,良い結果,痛くない)を重ね治療に取り組んできた.今回,2022年の1年間に当院へ受診した陥入爪・巻き爪の新患患者306例につき検討した.男性101例,女性205例であった.過去の治療経験,及び発症年齢から陥入爪は下記の4typeに分類するのが妥当と考え,さらに巻き爪はtype3として統計的臨床的検討を加えた.type1(爪甲側縁が陥入するもの)34例,type1G(type1に肉芽を伴うもの)36例,type2(爪甲側縁先端が陥入するもの)76例,type2G(type2に肉芽を伴うもの)18例,type3(巻き爪)135例,type3G(巻き爪に肉芽を伴うもの)6例,その他1例であった.type1(Gも含む)の平均年齢は27.8歳,type2(Gも含む)は41.0歳,type3(Gも含む)は62.6歳であった.当院ではどのtypeでも炭酸ガスレーザーによる治療を第一選択として保存的治療を原則としている.陥入ないしは巻いている爪をレーザーで曲げることにより短時間,低コストによる治療が可能である.自験例につき報告する.