日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
総説
呼吸リハビリテーション―理学療法の立場から―
足立 仁志吉田 誠中野 博
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 49 巻 5 号 p. 161-167

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抄録

 呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は中等度から重度COPD 患者に必要な治療とされ,理学療法はその重要な構成要素である.理学療法は主にコンディショニングを目的とした呼吸理学療法と運動機能改善・維持を目的とした運動療法で構成される.呼吸理学療法では呼吸訓練や各種ストレッチ,排痰法などを行う.運動療法では,持久力トレーニングと上下肢の筋力トレーニングを行うが,両トレーニングの併用がより効果的である.4 ~ 6 週間以上の理学療法実施により呼吸困難感や運動機能およびQOL が改善するエビデンスは高いが,効果維持には週2 ~ 3 回の継続が必要である.

 COPD 患者は軽症段階から活動量の低下した生活に陥りやすい.この日常身体活動量はCOPD 患者の死亡率に大きく影響する.加えてCOPD 患者は高齢者の心身機能低下の大きな要因とされているサルコペニアやフレイルを合併しやすい.呼吸リハビリによってサルコペニア,フレイルともに改善効果が認められているが身体活動性に関しては未だ一定の結論は出ていない.今後,いかに日常身体活動量増加に結びつけていくかが,理学療法も含めた現在の呼吸リハビリにおける大きな課題である.

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© 2019 日本臨床生理学会
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