日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
C 型慢性肝炎・肝硬変におけるFibroScan による肝硬度測定の有用性
原 浩二
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 50 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

肝生検は,これまで肝線維化診断の中心的な役割をしてきたが,疼痛や出血,感染の危険があり,また,サンプリングエラーによる診断の信憑性も指摘されている.血清学的肝線維化マーカーも用いられている一方で,近年エラストグラフィーによる肝線維化測定方法も用いられるようになった.その中でも,近年FibroScan が開発され,様々な肝疾患において肝硬度測定に使用されている.今回の我々の検討ではC 型慢性肝炎またはC 型肝硬変患者においてFibroScan の測定値が,血清学的肝線維化マーカーであるM2PBGi,血小板,FIB-4 index,AFP と相関を認め,更にDirect Active Agents(DAAs)によりSustained Viral Response(SVR)を達成した症例では,M2PBGi,FIB-4 index,AFP は治療開始2 週目より改善傾向にあったのに対し,FibroScan は治療開始後12 週目より改善傾向にあった.M2PBGi,FIB-4 index,AFPは肝臓の炎症の影響を受ける一方で,FibroScan は線維化を表している可能性が示唆された.

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© 2020 日本臨床生理学会
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