日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
総説
酸・塩基平衡はPCO2,Na+ とCl- の濃度差,残余陰イオン濃度,総蛋白濃度の4 因子で考える
山藤 和夫
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 52 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

 電解質水溶液の化学平衡の原理に基づいて,血漿pH が主に二酸化炭素分圧PCO2,Na+ とCl-の濃度差[Na+] - [Cl-],残余陰イオン濃度 [RA-](論文中で説明),総蛋白濃度[TP] の4因子で決まることを示し,血漿の酸・塩基平衡をこの4 因子をパラメーターとして解析する方法を解説する.本法はStewart approach と同様な考え方に基づいているが,Stewart approach とは解析に用いるパラメーターが異なる.最も大きな相異は,Stewart approach ではStrong ion difference(SID)の一要素である[Na+] - [Cl-] が,本法ではパラメーターの一つとなっている点である.[Na+] - [Cl-] は血漿の酸・塩基平衡を考える上で極めて重要であり,パラメーターの一つとして扱われるべき因子と考えている.本稿ではこの[Na+] - [Cl-] の重要性についても触れつつ解説を進める.

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© 2022 日本臨床生理学会
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