高齢者糖尿病はフレイルになりやすい疾患である.糖尿病におけるフレイル発症の危険因子はHbA1c 高値,低血糖,心血管危険因子,大血管症,腹部肥満などがある.フレイルの発症機序としてインスリン抵抗性,動脈硬化,炎症,酸化ストレス,ミトコンドリア機能異常などがある.フレイル外来患者の縦断研究で脳局所の白質統合性異常,血液GDF15高値,RDW高値,床反力のスピード低下などが新規のフレイル発症の危険因子であることを明らかにした.
フレイルを考慮した食事療法は適正なエネルギー量と十分なたんぱく質とビタミンを摂取し,低栄養を防ぐ.運動療法はレジスタンス運動またはマルチコンポーネント運動を行う.薬物療法は,低血糖予防,腎機能評価による用量調節,治療の単純化,SGLT2 阻害薬やGLP-1 受容体作動薬を用いた心血管疾患・CKD の予防を行う.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標はDASC-8 などを用いた認知・ADL の評価に基づいてカテゴリー分類し,低血糖が危惧される薬剤の使用の有無を考慮して決定する.認知機能,ADL,フレイル・サルコペニア,心理,栄養,薬剤,社会面を含む高齢者総合機能評価(CGA)を行い,カテゴリーⅡの段階からのフレイル対策,治療の単純化,社会的対策などを行うことが高齢者糖尿病の個別化医療となる.