2025 年 4 巻 2 号 p. 85-92
【目的】今回,超音波診断装置を用いて上腕骨外側上顆炎2症例の橈骨頭の二次元的動態を観察し病態解釈したので報告する。【症例】2症例とも50代男性で,主訴は物を持つときの肘外側部痛である。両者とも関節可動域は肘関節0°伸展位での手関節Grip掌屈と前腕回内で減少し,圧痛は上腕骨外側上顆,短橈側手根伸筋,総指伸筋に認めた。超音波診断装置では橈骨頭の外側および前方変位動態を測定し,変化量ならびに変位角を算出した。その結果,2症例とも健側と比較して患側では肘関節0°伸展位回内に伴う橈骨頭の外側変位は減少し,前方変位は過度に増大し,変位角も大きかった。短橈側手根伸筋,総指伸筋の伸張性改善や橈骨輪状靭帯周囲の滑走性改善後は,可動域は拡大し,前方変位量,変位角ともに減少し疼痛も消失した。【結論】橈骨輪状靭帯や総指伸筋の緊張増大に起因した可動域制限や変位量の変化が本病態と関連している可能性があると考えられた。