抄録
わが国から発信される学術成果の8割が海外の雑誌に,しかもその多くが商業誌に掲載されており,このことが情報発信のあり方としてさまざまな問題を生んでいる。国内の雑誌,特に学協会が発行するいわゆる学会誌というものが,もう少し力をつけ,研究者が投稿したいと考えるような雑誌に脱皮していくことができれば,この問題の解決に少なからず寄与できるはずである。本稿では,創刊以来30年の伝統を持つ英文学術論文誌Cell Structure and Functionを完全な電子ジャーナルに移行させ,冊子体を廃止するという大きな決断を行った日本細胞生物学会の取り組みを,学会の立場から紹介する。