Oncoplastic Breast Surgery
Online ISSN : 2432-4647
ISSN-L : 2432-4647
原著
人工物を用いた乳房再建後感染症例への対応
―人工物を抜去しない救済処置で感染制御は可能か―
綱島 千春河村 進時吉 貴宏
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2017 年 2 巻 3 号 p. 71-77

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抄録

人工物による乳房再建における感染時の対応として, さまざまな報告がある。われわれはこれまで, 再建乳房の喪失を避けて感染を制御できるよう対応してきた。15年間で感染制御に用いた方法とその救済率を調査し, 感染時の適切な対応方法について検討した。救済には (1)抗生剤投与のみ, (2)陰圧吸引ドレーン逆行性洗浄, (3)切開洗浄・ドレーン留置, (4)カプセル内デブリードマン・人工物洗浄・再留置の4種類の方法を用いており, ティッシュエキスパンダー感染の救済率は70% (Mild infection 100%, Severe infection 45.5%) , インプラント感染の救済率は88.2% (Mild infection 100%, Severe infection 81.8%) であった。(3)切開洗浄・ドレーン留置では, ティッシュエキスパンダー感染はインプラント感染と比較して救済率が有意に低かった (p=0.043) 。人工物抜去に関連する有意な背景因子は認めなかった。再建乳房を喪失せずとも感染を制御できる可能性が高いことが示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
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