2019 年 4 巻 2 号 p. 45-52
近年, 乳房手術のアウトカム評価において, 患者の健康関連, 生活の質 (Quality of life : QOL) などを患者の視点から評価することが非常に重要と考えられている。2009年に発表されたBREAST-Qは, 乳房手術が患者の健康関連QOL と満足度に与える影響を計測するための患者主観的評価尺度であり, 現在海外で急速に普及している。しかし, わが国での実用例の報告はまだなく, その詳細な適応性は明らかではない。そこで, われわれは当院で乳房全摘術を施行された患者を対象にBREAST-Qを用いたアンケート調査を行い, Patient Reported Outcomeを指標に乳房再建の有用性検討を行った。結果, 人工物と自家組織の再建法にかかわらず, 乳房再建を行うことで乳房に対する満足度, 心理社会的健康観, 性的健康観は大きく改善されることが改めて示された。一方, 治療者に対する満足度や身体的健康観の項目においては明らかな差異はみられなかった。乳房再建は, 乳癌手術を受けた患者の満足度・QOLの向上に寄与していることが示唆された。