牛の永久歯々胚の形成期エナメル質の石灰化進行像を非脱灰研磨片のmicroradiographyによって観察し, 更に, 同じ研磨片の透過光線像, 組織化学的染色像と比較した。Microradiogramの観察にあたってtelevision display systemにより等濃度線図を作成し, 又, コンピューターによる2種の画像処理を行った。
基質形成期において軽度に石灰化したエナメル基質は, 成熟期に入ると急速に石灰化度の二次的上昇をとげる。ただし, 石灰化度とその上昇の勾配, 石灰化完了の時期, 最終的石灰化度, 等は層によって異なる。
基質形成期において透明であったエナメル基質は, 成熟期に入ると幅せまい表層を除いて不透明となり, その上もろくなる。この様な状態にある間に, 石灰化度の二次的上昇が進行し, 再び透明化すると間もなく石灰化は終る。