歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
下等脊椎動物の多生歯の血管分布について
長谷川 一夫石田 雅男
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1979 年 21 巻 1 号 p. 140-159

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抄録

生殖腺が発生の段階で血管を伴って最終の位置に移動することは良く知られた事実である。歯に分布する血管の形態, 即ち歯胚, 着床歯及び脱落歯について之等の血管の変動も又著者等の興味を覚える点である。この問題の追求の為に下等脊椎動物17種について10%ゼラチン加墨汁を血管内に注入し, 頭部の連続透明切片を作製し解剖顕微鏡下に観察した。下等脊椎動物は多生歯を有し, 歯胚, 着床歯の各ステージが観察出来る。勿論, 歯の形態と着床の様式も観察し, 血管分布との関係には特に注意を払った。各発生段階での血管分布が一枚の切片の中で観察され, 血管の起始, 分枝及び走向が発生の経過に応じて変化し之等の変化をそれぞれの種について比較検討した結果, 下等脊椎動物に於ける血管分布は9型に分けられた。各型とその発生段階での変化は歯の発生と関係深く, かつ都合よく説明することができた。

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