1979 年 21 巻 1 号 p. 160-168
硬組織の石灰化に関する研究は, 基質小胞の発見により大きく発展し, 石灰化機構における細胞の役割が重要視される様になった。著者はラット胎児及び新生児頭蓋冠の酵素処理により得た骨細胞が, 大量のカルシウムを含み且その約30%が交換可能であること, 又その出入は一部エネルギー依存性のものであること等を明らかにした。又カドミウム及びマンガンが骨細胞に於けるカルシウムの出入を特異的に抑制することを証明した。これらの成績は骨細胞の石灰化機構における役割及び重金属塩の硬組織に対する為害性の解明に有力な手がかりを得たものと考える。