歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
2-cyano-10-[3'-(4''-hydroxypiperidino)-propyl]-phenothiazine中毒ラットの休薬による回復効果
伊藤 忠信村井 繁夫吉田 熈中本 義勝
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1979 年 21 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

enothiazine誘導体である2-cyano-10-[3'-(4'-hydroxypiperidino)-propyl]-phenothiazineを6ヵ月間投与したラットの慢性毒性試験において, 休薬による中毒状態からの回復を, 口腔領域を含めて検討した. 薬物は10%Acacia溶液に懸濁され, 5, 40及び120mg/kgを6ヵ月間, 胃内に投与された. 休薬後, 自発運動の抑制, カタレプシー様症状, 傾眠状態, 口腔粘膜の乾燥, 口唇の異常運動歯垢の蓄積, 歯芽の異常などは観察されなかった. 体重は初め減少, のち増加の二相性の変化を示した. 飲水量や摂餌量は休薬後増加した. 顎下腺の湿重量は休薬後4週目でもなお薬物による影響がみられ, 雄では減少し, 雌では増加した. また, その組織検査では漿液腺細胞の軽度の障害が認められた. なお, s-GOT値, LDH値, 血糖値は休薬により正常に回復した.

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