歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
歯肉炎における歯肉コラーゲンの性状変化と加水分解酵素活性
杉山 勝三山本 健二鎌田 理勝田 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 21 巻 1 号 p. 22-27

詳細
抄録

歯肉炎の歯肉結合組織に及ぼす影響を組織コラーゲンの性状変化とそれに関連する酸性加水分解酵素および中性プロテイナーゼ活性の動向から検討した。
ヒト歯肉炎の切除歯肉組織中には対照歯肉に比べ可溶性の蛋白質および透析性ハイドロキシプロリン量が著しく増加し, 塩可溶性および酸可溶性コラーゲンも約2-3倍の増加を示した。これに対し不溶性コラーゲンは疾患群において減少を示した。酸性加水分解酵素活性は疾患群と対照群に変動が認められなかったが, 中性pH域で活性を示すコラーゲン分解活性およびカテプシンB1活性は疾患群において著明な増大を示した。しかしカテプシンG活性には差が認められなかった。以上の結果から歯肉炎における歯肉結合組織のコラーゲンの質的転換にはカテプシンB1およびコラゲナーゼが重要な役割を果していることが示唆された。

著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top