彎曲徴について, 臨床上ならびに歯の解剖学上有効な指針を得るために, 下顎右側の中切歯, 側切歯および犬歯の歯冠長を12等分し, Contracerを用いて歯軸に直交する各断面の輪郭と切縁観輪郭における彎曲徴を角度的に観察した。次のような結果が得られた。
1.切縁観輪郭では, 下顎中切歯および下顎側切歯には彎曲徴は認められない。下顎犬歯は明らかに彎曲徴が認められる。
2.歯冠各部の輪郭では, 下顎中切歯で切縁側1/4の領域に, 下顎側切歯で切縁側2/3の領域に, 下顎犬歯で尖頭より3/4の領域にそれぞれ明らかに彎曲徴が認められる。
3.下顎中切歯において切縁側1/4の領域で明らかに彎曲徴が存在することは他の要素と合わせて左右側鑑別の一助となし得る。