日本視能訓練士協会誌
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一般講演
矯正視力1.0に達しなかった弱視症例の特徴
大北 陽一木村 亜紀子嶋田 祐子三村 治
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2012 年 41 巻 p. 123-128

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抄録

目的)弱視治療を2年以上行ったにもかかわらず、矯正視力1.0に達しなかった症例をまとめ、その特徴と原因につき検討する。
対象と方法)2000年6月からの9年間に兵庫医科大学病院眼科で弱視と診断された初診時年齢9歳未満で、2年以上経過をおえた223例313眼(0~8.7歳)を対象とした。内訳は屈折異常弱視83例166眼、斜視弱視65例65眼、不同視弱視63例63眼、形態覚遮断弱視12例19眼であった。視力測定にはランドルト環字ひとつ視標を用いた。予後に影響を与える因子につき後ろ向きに検討した。
結果)矯正視力1.0に達しなかった不良群は313眼中41眼(13.1%)であった。初診時年齢は視力予後と有意差を認めなかったが、初診時視力は不良群が平均0.21(1.0獲得群は平均0.42)と有意に悪かった(p<0.001)。41眼の内訳は屈折異常弱視4眼(2.4%)、斜視弱視12眼(18.5%)、不同視弱視12眼(19.0%)、形態覚遮断弱視13眼(68.4%)であった(括弧内はその群内比率)。屈折異常弱視4眼のうち2眼は等価球面度数-10.00D以上の強度近視であった。斜視弱視では不同視を合併した5例中4例が予後不良であった。不同視弱視の中で、遮閉訓練にかかわらず予後不良であった2例は5.50D以上の遠視性不同視であった。形態覚遮断弱視の先天眼瞼下垂では屈折異常の合併が予後に影響を与えていた。
結論)初診時視力0.2以下、-10.00D以上の強度近視、不同視を合併した斜視弱視、5.50D以上の遠視性不同視、先天眼瞼下垂に屈折異常の合併が予後不良因子と考えられた。

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