2016 年 45 巻 p. 39-46
【目的】大学生での調節機能・輻湊機能異常のスクリーニングにおけるConvergence Insufficiency Symptom Survey(以下CISS)の有用性を明らかにする。
【対象及び方法】屈折異常以外に眼科的疾患のない大学生41名(平均年齢20.5±1.9歳)を対象とした。CISSは15の質問項目からなり、各項目の合計得点をCISS総合得点(0~60点)とした。視機能検査では、遠見及び近見視力、屈折、調節近点、調節効率、眼位、融像幅、輻湊近点の検査を行った。結果に基づき、対象者を調節機能・輻湊機能異常あり群(以下異常群)となし群(以下正常群)に分類し、各群のCISS総合得点を比較した。さらにReceiver Operating Characteristic曲線を用いて曲線下面積(以下AUC)とカットオフ値、精度を算出した。
【結果】正常群24名(58.5%)、異常群17名(41.5%)に分類された。CISS総合得点は正常群10.92±7.48点(平均値±標準偏差)、異常群19.53±7.85点であり、正常群に比べて異常群の得点が有意に高かった(p<0.01)。CISS総合得点のAUCは0.792であり、カットオフ値14.5点の場合に、感度76.5%、特異度75.0%であった。
【結論】CISSは大学生での調節機能・輻湊機能異常のスクリーニングに有用であることが示唆された。