日本視能訓練士協会誌
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新たに製作されたRed filter ladderを用いた斜位の維持能力の評価
高田 遼太松本 富美子若山 曉美百海 紗弥香関 ゆかり高橋 里佳梅原 郁美田中 玲湖児島 理恵歌村 圭介阿部 考助七部 史日下 俊次三島 弘石場 義久下村 嘉一
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2017 年 46 巻 p. 257-264

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抄録

【目的】新たに製作された山本光学社製Red filter ladder(以下山本光学社製)の斜位の維持能力における有用性を検討するため、山本光学社製と既存のSBISA社製Bagolini's Red filter bar (以下SBISA社製)を用いて斜位の維持能力を評価し、両者の結果を比較検討した。

【対象及び方法】対象の選択基準は年齢3歳 ~ 15歳、両眼とも矯正視力(1.0)以上で間欠性外斜視と診断され、かつ近見(30cm)、遠見(5m)ともに斜位があるものとした。除外基準は斜視以外に眼疾患を有する者、交代性上斜位のある者、自覚的な検査の応答が得られない者とした。対象は、年齢5歳 ~ 15歳(平均 ± 標準偏差、10.5 ± 2.7歳)の31名(男児14名女児17名)であった。測定方法は、被検者には屈折矯正下で点光源を固視させ、非優位眼に最も視感透過率の高いフィルター(No. 1)から透過率の低いフィルター(No. 17)へと負荷を強め、斜位が破綻し斜視になった直前のフィルターナンバーを斜位の維持能力とした。測定順序はランダムに行い、2つの器具の測定の間隔は10分間の休憩をとった。結果は斜位の維持能力を視感透過率で比較した。

【結果】山本光学社製とSBISA社製の視感透過率が共通する範囲において、2つの器具で測定した斜位の維持能力に有意な差はみられなかった(近見 p=0.14、遠見 p=0.37、Wilcoxon signed-rank test)。

【結論】山本光学社製はSBISA社製と同様に斜位の維持能力の評価に用いることができる。

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