2019 年 48 巻 p. 47-56
【目的】視能障害による自覚的歩行困難への影響を評価するため質問票を作成し、統計解析により構造を明らかにした。また質問票の得点とFunctional Vision Score(FVS)との関連を検討した。
【対象および方法】対象は周辺視野の障害を有する患者82例で、平均年齢は62.6±11.7歳であった。疾患の内訳は、網膜色素変性53例、緑内障29例であった。視能評価は視力および視野検査により、Functional Acuity Score(FAS)、Functional Field Score(FFS)、FVSを算出した。歩行困難の自覚的評価は、「歩行に関する質問票(質問票)」を使用した。統計解析は主成分分析を行い、主成分得点を求めた。質問票に対する視能の影響度を求めるため、目的変数を主成分得点、説明変数をFAS、FFS、FVSとして重回帰分析を行った。
【結果】質問票の主成分分析により、第1主成分は「段差の把握」と決定した。重回帰分析により標準偏回帰係数はFASで0.354、FFSで0.676、FVSで-0.219であった。(それぞれp<0.01、p<0.01、p>0.05)。FVSを除いて再度重回帰分析を行い、標準偏回帰係数はFASで0.276、FFSで0.515であった(それぞれp<0.01)。
【結論】質問票は段差の把握の項目により自覚的歩行困難の特性を評価することが可能であった。質問票はFFS、FASの順に影響度が高かった。