2019 年 48 巻 p. 57-63
【目的】両眼で生じる変視症と優位眼との関連性について検討すること。
【対象と方法】2017年1月~2018年7月に片眼のみ黄斑疾患があり、アムスラーチャートを施行して変視が認められた48例(男性20例、女性28例、平均年齢70.9±11.9歳)を対象とした。同時に、M-CHARTS®を実施し、hole in card法にて優位眼を検査した。これらから、変視と優位眼との関連性を調べた。なお、眼優位性の評価から、矯正視力0.3以下の症例は除外した。
【結果】患眼のみでなく両眼視にても変視を訴えた症例は6例いたが、5例は同じような形の変視を自覚していた。患眼のみで見れば変視を認めた48症例全例のうち、優位眼が患眼であった16症例中、両眼視で変視を認めた症例は1例、認めなかった症例は15例であり、非優位眼が患眼であった32症例中、両眼視で変視を認めた症例は5例、認めなかった症例は27例であった。Fisherの直接確立検定で、有意差を認めなかった。変視の検出率は、M-CHARTS®よりアムスラーチャートの方が高かった。
【結論】片眼の黄斑疾患が原因で、両眼視で変視を生じるか否かは、眼優位性では説明がつかないことがわかった。Interocular transferを含めた中枢神経の働きが関与していると推測した。