日本視能訓練士協会誌
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文字呈示面の回転が読字に及ぼす効果
本居 快高橋 啓介杉浦 巧知服部 玲奈
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2020 年 49 巻 p. 187-192

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抄録

【緒言】本研究では、文字呈示面を下方視に対応するx軸方向、あるいは側方視に対応するy軸方向に回転させ、文字列の行間隔および文字間隔の有無が文字読み取りに及ぼす効果について検討した。

【対象および方法】視力1.0以上の視覚健常な3名を被験者とした。各被験者について測定した文字読み取り可能最大回転角度に及ぼす文字呈示面の回転軸(x軸あるいはy軸)、行間隔の有無、文字間隔の有無について3元配置分散分析モデル実験計画によって検討した。文字はすべてひらがな無意味綴りで、文字サイズは8.8 point、文字コントラストはMichelson contrast 98.8%であった。文字の配列はMNREAD-Jに準拠した。

【結果】結果の分析は被験者ごとに行った。3名中2名の被験者においてy軸回転で文字間隔がないと、文字の読み取りが有意に不利になることが示された。残りの1名の被験者は、文字間隔、行間隔に関わらずx軸回転に比べてy軸回転で文字読み取りが不利になった。

【考按】上記の結果は、1種のcrowding effectと捉えることもできるが、奥行き知覚などのより高次の処理が関与した視空間の異方性の現象であると考えることができる。

図3 各実験条件における被験者ごとの平均読み取り可能最大回転角度(ヒゲは1sdを示す) Fullsize Image
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© 2020 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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