超音波Aモードによる眼軸長測定は経験年数の異なる検者間において測定精度に差があるかどうか、熟練検者と習熟中の検者の2名が同一症例を測定し、その術後成績を比較した。対象は検査機器・術者・術式・眼内レンズを同一にし、術前・術中・術後に合併症がなく、術後3ヶ月以上の経過観察ができた280眼である。これらを眼軸長別に3群に分け、予測誤差の差を検者別に比較検討した。熟練検者・習熟中の検者ともパーソナルA定数はメーカー推奨値よりも約0.5大きい値となった。眼軸長別にパーソナルA定数を求め、メーカー推奨A定数との差から予測誤差を算出したところ、熟練検者は0.49±0.48D(短眼軸長群)、0.43±0.64D(標準眼軸長群)、0.10±0.79D(長眼軸長群)、習熟中の検者は0.63±0.58D(短眼軸長群)、0.49±0.65D(標準眼軸長群)、0.37±0.66D(長眼軸長群)となり、両者の間に有意差はなかった。検者間に予測誤差の差は若干あるものの、習熟中の検者であっても熟練者の指導のもとで測定すれば熟練者と同様の結果が得られるものと思われた。しかし、予測精度を向上させるためには、検者別の誤差の傾向を知ることと各自の測定技術の熟練が重要である。