網膜疾患の検査診断に使われるERG検査は眼科における電気生理検査の代表であるが、ISC EVの標準に従って杆体反応、杆体錐体混合反応、錐体反応、フリッカー反応を記録することで、疾患の鑑別診断にさらに有用となる。
ERG検査においては電極が角膜上に正しく置かれていることを常に確認することが正確な検査結果を得る上に重要である。暗順応下で白色閃光により記録されるERGはもっとも一般的に行われているが、この検査においても電極位置が不正であれば誤った波形が得られる可能性がある。
VEP検査においては被験者の注意力や意識水準の確認が正確な検査結果を得るために不可欠である。パターンリバーサル刺激によるVEPでは被検者が固視を維持し、パターンの反転を常に意識できるように検者が誘導する必要がある。フラッシュVEPを睡眠下で実施するときは、できるだけ浅い睡眠下で検査を実施することが望ましい。また、刺激への慣れによる反応の低下と疾患による反応の低下を鑑別するために患眼の反応を先に記録することや、VEP波形であることを確認するために背景脳波のみを加算したときの波形と視覚刺激を与えた場合の波形を比較するなどの工夫が有効である。