抄録
アーク溶接時に発生する高濃度の金属粉じんへのばく露は技術的に対策が困難なため,新規じん肺有所見者数に占める溶接作業従事者の比率は依然として高い状況にある.しかし溶接粉じんの有害性に対する認識には未だ不足が見られ,今後,同作業場における粉じん濃度測定の必要性がより高まると予想される.溶接作業者の粉じんばく露の実態を正確に把握するには,場の測定を主体とする従来の作業環境測定法では不十分なため,個人サンプラーを用いたばく露濃度測定を行うべきだが,溶接作業の場合はこの個人サンプラーを溶接用遮光保護面の内側に取付ける必要がある.一般的な個人サンプラーは作業者の襟元などに装着するように造られているため,本報では同サンプラーを遮光保護面の内側に固定する簡易な方法と用具を紹介する.