2017 年 10 巻 2 号 p. 127-131
人間が事故を惹起しないための各種対策が,産業,医療,および交通などの諸領域において広く実施されている.各種の対策を効果的かつ効率的に実施するためには,計画もしくは実施した対策を科学的に評価し,以後の改善に活用する作業が求められる.本稿では,子どもを対象にした交通安全教育を例として,心理学的観点からの評価方法と留意点について概説するとともに,事故低減対策の効果評価について,今後求められる考え方の一考察を記す.本稿に示す内容は,子どもを対象にした交通安全教育に焦点を当てているが,産業や医療事故などを低減するための対策を評価する際の一助になるものと期待される.