労働安全衛生研究
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技術解説
ISO 45001のリスクアセスメント—新規格への対応—
豊田 寿夫
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2017 年 10 巻 2 号 p. 133-140

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抄録

現在開発の最終段階にあるOH&Sマネジメントシステムの国際規格ISO 45001は“ISOの附属書SL”の枠組みで作られている.この関連で“リスク及び機会”という概念が持ち込まれ,新規格には二つのリスクとそれぞれに対応する機会,合計4種類のリスク関連要素が使われている.本稿では,この中の労働安全衛生法の規定に関わる(OH&S)リスクに関するリスクアセスメントを中心に報告する.規格自体は特定のリスクレベルについては言及せず,運用国の法体系に準拠すべきとの規定である.したがって,我が国での新規格の運用は労働安全衛生法第28条の2及び第57条の3の規定に準拠し,受容可能なリスクレベルはこれらの規定に対して発行された二つの指針の施行通達が求めるALARPということになる.なお,OH&Sマネジメントシステムの運用に必要となるリスクアセスメントではISO/JIS Q 31010のリスク領域とリスクの区分に則り,厚生労働省の要綱を踏まえ,関連法規制の順守をもってALARP達成との解釈を行う手順を提案する.本事項を含む新規格の活用上の問題点は,我が国でのISO 45001の運用開始までに解消されることを期待したい.

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© 2017 独立行政法人労働安全衛生総合研究所
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