2018 年 11 巻 1 号 p. 73-77
有害な粉じんを吸い込むことにより,じん肺症,中毒症,がんなどの重篤な健康障害が引き起こされる.粉じんから労働者の健康を守るためには,原因となる有害物質の取り扱いをやめる,あるいは健康上問題ないと判断される濃度まで低減させることが基本的な手段である.そのためには,作業場の粉じん濃度あるいは労働者個人に対する粉じんばく露濃度を正確に測定し,また測定結果を正しく理解する必要がある.本資料では,作業環境中の粉じんの測定方法と保護具によるばく露防止に関して粉じん粒子の大きさに着目して解説し,さらに労働安全衛生総合研究所で最近実施したナノマテリアルのダスティネスに関する研究を紹介する.