労働安全衛生研究
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短報
加湿による帯電防止効果
遠藤 雄大大澤 敦
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2018 年 11 巻 2 号 p. 113-116

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抄録

加湿は,高分子材料などにみられるように必ずしも帯電を抑制するものではないので,本質的な静電気対策ではなくあくまでも補助的手段である.加湿を静電気対策に用いる場合にはその効果を予め調査しなければならないが,その根拠もなく利用していることもある.本研究では,加湿による効果が期待できない条件(床材,靴が吸湿性に乏しい合成高分子系材料製)において,歩行時の人体電位と人体の電荷緩和に影響する人体の漏洩抵抗および床材の表面抵抗率および体積抵抗率の湿度依存性を調査した.その結果,静電気による電撃や着火防止には,導体あるいは導体と見なされる人体などの漏洩抵抗を下げるなどの本質的な対策が重要であり,加湿が必ずしも静電気対策として効果がない条件があることを定量的に示した.

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© 2018 独立行政法人労働安全衛生総合研究所
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