2019 年 12 巻 3 号 p. 195-198
職業性ばく露として,経気道,経皮,経口等が主要な経路として考えられるが,単一のばく露経路によって行われた動物実験での知見が,現場の労働者のばく露状況を反映した毒性影響を判断する際に重要な情報になると考えられる.近年,産業化学物質の経皮吸収による膀胱がんの発生等,深刻な労災事例が報告されてきており,産業現場において作業工程中に起きてしまった疾病に対して,毒性機序の解明やその予防に向けた対策が喫緊の重要課題となっている.皮膚吸収実験はOECDテストガイドラインに記載されているが,実用性をふまえ,精度が高く簡便かつ汎用性のあるプロトコールが必要であると考えられる.本研究では,毒性実験に向けたマウス経皮ばく露の条件および方法の検討を行なったので報告する.