労働安全衛生研究
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貯槽屋根の飛散事故
鶴田 俊
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2021 年 14 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

貯槽は,再生可能エネルギーの活用にしばしば重要な役割を果たしている.太陽光,風力は,天候により出力が変動する.バイオマス発電では,ガス化装置と発電装置の負荷追従特性に差が存在する.このような各段階での変動を吸収し,エネルギー需要変動に追従した送電を実現する必要がある.各段階での出力差を埋め,平準化のためしばしば貯槽にエネルギーを蓄えることが行われる.貯槽に蓄えられたエネルギーが,制御なしに放出されると貯槽が破損する.貯槽が,破損するときに発生する破片や爆風により周囲に被害が生じることになる.屋根を軽量な作りとし,破片の飛散距離を小さくし,爆風を上空に導き,周囲への被害を軽減する構造が用いられる.最近,発生した貯槽の爆発事故では,貯槽屋根が近隣家屋を大きく破壊し,負傷者を生じる結果となっている.過去の石油タンクを対象とした解析で,小型タンクの場合,屋根飛散時の内部圧力が高くなり,底部に損傷が起きる恐れがあることが指摘されている.この論文では,爆発時の記録から飛散した屋根の飛翔経路を推定する方法について検討した.

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© 2021 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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