労働安全衛生研究
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調査報告
労働安全衛生を担当する「管理責任者」の選任状況
相羽 洋子 大柴 聡竹内 靖人宮下 和久圓藤 吟史森岡 郁晴
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2022 年 15 巻 2 号 p. 169-176

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抄録

労働災害を防止するため,労働安全衛生に関する規則が法律,通達等によって規定されている.事業場では安全衛生を担当する者が選任され,各々の職務を遂行している.通達で保護具着用管理責任者が規定されているが,その選任状況は明確でなく,事業場において配置されているかどうか調査した報告はない.そこで,保護具着用管理責任者,振動工具管理責任者,化学物質管理者(以下,「管理責任者」)に着目し,選任状況を明らかにすることを目的としてアンケート調査を行った.本研究では,「管理責任者」を選任する必要のある有害業務を鉛業務,粉じん業務,有機溶剤業務, 特定化学物質業務,振動業務とした.アンケートに回答した323社のうち,有害業務のある205社を分析対象とした.199社は保護具着用管理責任者を選任する必要があり,46社が選任していた.56社は振動工具管理責任者を選任する必要があり,19社が選任していた.化学物質管理者を選任する必要のある事業場は179社であり,52社が選任していた.いずれの「管理責任者」も,約40%の事業場で作業主任者から選任されていた.「管理責任者」が有害業務のある事業場で選任されていない理由は,62社が総括安全衛生管理者等の業務であると回答した.「管理責任者」を選任している事業場は約30%であった.有害業務のある事業場では,「管理責任者」がより良く職務を遂行できるよう選任の在り方 を見直す必要があることが明らかとなった.

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© 2022 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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