2022 年 15 巻 2 号 p. 189-191
ロールボックスパレット(RBP)と呼ばれる人力運搬機は今日の物流を支える存在なのだが,運搬等による労働災害が問題になっている.これまでに取扱いの手引き等が発行され,適切な取扱い等が示されてきたのだが,RBP本体にも 問題があるため改良が求められていた.このような背景から労働安全衛生総合研究所は,厚生労働省からの要請により RBPメーカー等から構成されるロールボックスパレット改良ワーキンググループ(RBP改良WG)を組織し,コスト増を抑制しつつRBP起因災害防止に資する改良型RBPについて議論を進めてきた.その結果,RBP改良WGの推奨として3種類の持ち手の装備,小回りの利く旋回式と車輪の方向が定まった固定式キャスターが共存できる方向規制キャス ターの装備,開口部のサイドバー着脱時のバー先端部の落下による負傷や荷の損傷防止に資するサイドバー跳ね上がり 防止具を装備した改良型RBPを製作した.この改良型RBPの普及にはRBPの所有者が荷主であることから,荷主と取扱いを担う陸運事業者の双方が導入に向けて協議することが有効と考えられる.また,改良型RBPが万能ではないことへの理解も重要であり,改良型RBPに対応した取扱いルール策定と教育についても検討することが望まれる.