抄録
【目的】緩和ケアチーム介入のがん患者の悪心への効果を明らかにする. 【方法】2010年に淀川キリスト教病院緩和ケアチームに依頼があり, Support Team Assessment Schedule日本語版(以下, STAS-J)スコア2以上の悪心を認めた入院がん患者を対象とした. 悪心の原因を4つに分類し, 病態に応じ制吐薬を推奨し, 介入日と7日後の悪心STAS-Jスコアを評価した. 【結果】対象27名中24名で7日後の評価が可能であり解析対象とした. 化学的な原因9名, 消化管運動の低下8名, 中枢神経・前庭系の異常4名, 腸閉塞3名で, 悪心STAS-Jスコアは介入時3.0 (標準偏差, 0.55)から7日後1.1 (0.80)へ有意に低下した(p<0.001). 2名で眠気を認めた. 【結論】緩和ケアチームによる病態に応じた制吐薬の推奨が, がん患者の悪心に有用であることが示唆された.