労働安全衛生研究
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事例報告
脊髄損傷者用動力付外骨格型機器のプロトタイプ開発
小山 秀紀 池田 博康
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2023 年 16 巻 2 号 p. 143-149

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抄録

脊髄損傷者の歩行を支援することを目的に動力付外骨格型機器を試作し,その動作確認を行った.この装置は,外側系構造のフレームにアクチュエータを取り付けて股・膝関節を動力化し,プログラマブルロジックコントローラを用いた制御により,歩行機能の回復を図るというものである.本体寸法は,日本人の人体寸法データに基づき設定し,フレームの長さと幅の調整が可能である.また,X・O脚の程度に応じて,内外側方向への下肢関節軸角度も調整できる.アクチュエータは,減速比1:101の減速装置と,ブラシレスDCモータで構成され,最大トルク90.9 Nmを発生する.歩行時の制御方式は,骨盤帯に取り付けられたモーションセンサの角度信号をトリガとして,モータを駆動させる仕組みとなっている.健常者による予備的な装着適合性調査によれば,下肢に沿わせるようにフレームを配置することができ,各調整機能の有効性が確認された.また,プロトタイプの動作確認の結果,無負荷状態において,基本的な動作を正常に実行できることを確認した後,標準体型の健常者が装着して,椅子からの立ち上がり,歩行,座り動作の各モードを実行できることを確認した.さらに,杖に組み込まれた操作スイッチにより遠隔操作が可能となり,操作性の向上を図ることができた.

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© 2023 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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