労働安全衛生研究
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事例報告
機械の設計段階で実施する危険源同定の支援方法と手段の提案
齋藤 剛 濱島 京子池田 博康
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2023 年 16 巻 2 号 p. 127-142

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抄録

機械災害を防止するためには,第一に,機械の設計段階においてリスクアセスメント(RA)及びリスク低減を実施することが不可欠であり,その原則と手順が国際規格ISO 12100で定められ,厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」もこれに従う.しかし,RAを行うには機械の安全に対する一定の知識とある程度の習熟が求められ,その「難しさ」を理由に必ずしも浸透していない現状がある.そこで,本研究では,標準化されたRAの手順において最も重要なステップである「危険源の同定」に着目し,機械安全に関連するISO /IEC規格の要求事項や規定された基準を活用することで,機械安全の知識が限られた設計者でも最低限同定すべき危険源を認識できるよう支援する方法を提案する.これは,機械安全を我が国に先行して推進してきた欧州連合(EU)の考え方を参考に考案したもので,機械安全の知識に関わらずに設計者が技術的視点から客観的に設計対象機械に潜在する危険源を認識できるようにするものである.さらに本研究では,提案する方法を実行する具体的な支援手段の例としてデスクトップPC上で動作するアプリケーションツールを試作した.労働安全コンサルタントによる動作確認の結果,設計者にとって有効な支援となり得ると評価されたので報告する.

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© 2023 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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