「機械の包括的な安全基準に関する指針」の公示,「機械類の安全性」に関するJIS B 9700などの刊行により,わが国の産業界においてもリスクアセスメントによる機械安全化が実施されるようになってきた.しかし大多数の事業所におけるその実態をみると,設計フェーズと運用フェーズに限定されたものとなっている.本稿では全ライフサイクルの各フェーズで今後取組むべきリスクベースド・アプローチによる機械類の安全化の課題,および今後活用すべき有用なリスクアセスメント手法について述べる.また,安全と品質は表裏一体の関係にある.そこで設計フェーズにおいてリスクベースド・アプローチで得られた機械類の安全設計品質の健全性を運用フェーズに至るまで維持しなければならない.このためOSHA/PSMの規定する機器類の健全性(mechanical integrity)の考え方を参考に,機械設備の安全性の確保に必要とする品質安全マネジメントのあり方についても言及する.